オステオパシーと言われても日本だとほとんど知られてないのでどんなものかイメージしずらいと思います。
聞いたことがなかったり、イメージできないと
「オステオパシー」 = 「あやしいもの」、「怖いもの」
となりがちですが、そう思うのはただ知識が追いついてないだけです。
知らないから嫌いなんてもったいないです。
ちなみに、「オステオパシー」と聞いてそんな風に感じるのは日本だけです。
情報はすべての人がその意味を理解できたら情報としての価値を失うとも言われます。「あやしいもの」、「怖いもの」をそのままにせずに真実はどうなのか?と興味を持って調べ、自分の頭で考えられるようになることがこれからの時代は大事になってくると思います。何が正しいかは自分で見極めないといけません。特に最近はみんなが知っているから、みんなが信じているから「信用できる」、「正しい」なんてことはありません。
この仕事をしていて「もっと早く知りたかった!」とか「そんなこと誰も教えてくれなかった!」いう言葉を本当によく聞きます。「オステオパシー」という言葉のイメージとか今までの常識による先入観とかを排除して、せめてこのページを最後まで読んでから判断していただきたい。読むときもまず「オステオパシー」を理解したいと思っていただきたい。ポリオワクチンを開発したアメリカの医学者ジョナス・ソーク氏は「理解したいと望む人なら、1回話を聞けばわかります。理解したくない人には、1,000回話しても無駄でしょう。」と言ってます。
さらに欲を言えば、文章だけでは伝えられないこともたくさんあるので、まず自分で体験して、体験したときの自分の感覚を信じてほしい!!!と思ってますが、私個人的にはオステオパシーは万人受けするようなものではないとも思ってます。
今流行りの「一発で〇〇が良くなる!」というような速効性ではなく、症状を逆戻しするイメージでゆっくり時間をかけて少しずつ症状が改善していくことを目指してますし、誰かに治してもらうのではなく(自分で出来ないことは人の力も借りつつ)自分の力で治すと思ってほしいからです。さらに、症状がなくなったら来なくなる短期的なお付き合いではなく、これといった症状がなくても(自分だけでなく家族や大切な人も)ずっと体をみてもらいたいと思ってもらえるような世代をまたぐ長期的なお付き合いがしたいからです。
つるや ももこさんの『BODY JOURNEY』の中に「病院の先生以外に自分のからだのことやこころのクセを知っていてくれる「主治医」=「手あての人」を持っていると、ちょっとだけ安心して忙しい毎日を駆け抜けることができるよ、と伝えたい。」と書かれていましたが、私も本当にそう思います。
病院の標準治療で思ったような効果がなかった人、薬を飲み続けることに疑問を持ってる人、骨折などの怪我をして怪我自体は治ったし日常生活には問題ないけど怪我をする前のパフォーマンスに中々戻らない人、何らかの壁にぶつかり今の自分の体の状態と理想の状態を知ることでその壁を乗り越えたいという人にもぜひオステオパシーを体験してほしいです。すぐに結果が出なくてもオステオパシーの考えに共感し、結果が出るまで信じて待ってくれる人に来てほしいです。
オステオパシーとは病気や頭痛、腰痛などの症状に対してどのように対処するかという考え方です。
例えば、脳への血流が低下して頭痛が起きているとき、ほとんどの人は頭痛薬を飲んで痛みだけを取ると思いますが、オステオパシーは首や背中などの関節を操作して脳へ血を送り結果として痛みが取れるという対処を行います。
あなたは手っ取り早く薬で痛みが取れれば根本的な問題はそのままでもよいと考えますか?
それとも痛みの根本である脳への血流不足を解消したいと考えますか?
もし、後者ならオステオパシーが合っているかもしれません。
オステオパシーの施術は何をするのかを簡潔に表現するとまず、全身の関節の動きをチェックし、動いてない関節を動くようにします。関節が動いてないところは血液などの液体の循環が悪く、細胞に新鮮な酸素や栄養が行き渡らない上にゴミが溜まりやすくなってます。関節を操作することで血が足りてないところに血を送ったり、溜まっている老廃物を排出して循環を作ります。「流れる水は腐らない」。動いてない関節が動くようになったら日常生活の中で自分ですべての関節を動かせるようになるのが理想なのでそうなれるように導いてあげます。
背骨の生理的弯曲が維持され、全関節がきちんと動き、自律神経のバランスが取れて、液循環が正常に機能していれば、身体を構成するひとつひとつの細胞にきちんと酸素や栄養が行き渡り、代謝され、老廃物が体外に排出されるので理論的には病気になりにくい。今はこれといった症状がなくても年を重ねれば重ねるほど、無理をすればするほど、誤魔化せば誤魔化すほど必ずなんらかの症状が数年~数十年単位の時間差で後から出てきます。ちょっとした違和感の段階で気が付き、早め早めに対処すれば大きな病気だったり、我慢できないほどの痛みなどの苦しい症状に悩まされるリスクを回避できます。
病気の早期発見・早期治療が予防医学と思われがちですが、そもそも病気にならないようにすることの方が大事なのではないでしょうか?オステオパシーはそもそも病気になりにくくする”本物の予防”になると思ってます。
オステオパシーは
と考えて、投薬、手術は行わずに手技によって自然治癒力を活性化させる一般的な医学とは違った視点で発展してきた医学です。
今は病院もたくさんあるし、病院も細かい科にわかれていてどの病院の何科に行けばよいかもわからない。病院に行っても散々待たされた挙句、いろんな検査をしても原因がわからず、医師も時間がないから詳しい話も聞かず、説明も無難なことだけ、触れもせず、ただ薬を出すだけで何も変わらないという話はよく聞きます。そうなると診てくれた医師は本当に信頼していいのだろうかと疑心暗鬼になってしまう。
医学は強力な細菌による感染症や災害や交通事故などによる人の自然治癒力を超えた外傷などにはものすごく力を発揮します。が、本当に医師の介入が必要な”病気”、「症状を抑える」という意味でなく本当の意味で「治す」ことができる”病気”は意外と少ない。このことは少しずつ皆さんも気が付いているのではないでしょうか?
病院がだめなら次は病院以外となりますが、今は整骨院やら鍼灸院やらカイロプラクティックやら整体やらリラクゼーションマッサージやら、とにかくいろいろありすぎて何を選べばよいかわからないし、情報だけはたくさんあるけど何を信用すればいいかもわからないのではないでしょうか?
医師も含むこれらの人体を扱う世界は術者の腕(力量)にものすごく差があるので本物を見つけるのはとても大変です。
国家資格が保証するのは最低限の知識であり、人間力や腕(力量)を保証するものではありません。大手やチェーンのように大きく全国展開するにはある程度専門性を下げ、マニュアル化し、誰でもできるような仕組み作りが必要になります。その仕組み自体が悪いわけではありませんが、組織が決めたことを決められた通りにこなせばいいと考え、自分の頭で考えず、ただの作業と捉えれている術者にどうにかできるほど人体は甘くありません。そもそも標準化されたことが頭に入っていることは当たり前のことであり、人のからだを預かるということはそれだけ重い責任があります。
そんなときは、手っ取り早くオステオパシーを選択するのがよいと思います。
オステオパシーは病院、鍼灸整骨院、カイロプラクティックなどとは違った視点で人体と向き合うことでさまざまな症状に苦しんでいる人たちの症状を改善してきました。と同時にオステオパシーも万能ではないので出来ないこともたくさんあるという現実を誰よりも把握してます。私も日々無力感を感じてます。オステオパシーに固執して適切な医療への機会を損失させることは決してありません。私たちは”病気”の専門家ではないのでオステオパシーの適用範囲を超えている”病気”に関しては専門医の足元にも及びません。ただ、基礎医学はきちんと勉強しているのでその症状なら病院の何科に行った方がいいぐらいのアドバイスはできます。オステオパシーは専門性が高く、視野も広く守備範囲が広いので最初の窓口としては最適です。
(ただ、きちんと勉強もしないでオステオパシーを名乗るニセモノも多いので注意が必要ですが、、、)
最近はオステオパシーの弱点を補うためにOBERON(オベロン)を導入したり、創始者の教えはきちんと引き継ぎつつ、日本の良さを取り入れて日本ならではのオステオパシーの形を模索してます。
1年に1回は健康診断を受けると思いますが、そこにオステオパシーという新しい習慣を加えてみませんか?
「病気のあるない」とは違った「関節可動性と液循環」という視点で自分の体をみてみると新しい発見があって面白いと思います。施術を受けるのは早ければ早いほど効果は高いです。さらに、スポーツや伝統芸能・舞台芸術分野においても怪我の防止やパフォーマンスアップにも貢献できると思います。舞台芸術は骨のしなりや反り、限られた関節の可動域すべてをひっくるめて人間の生身の体で表現するものだから。
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オステオパシーは1874 年にアメリカ合衆国の医師アンドリュー・テイラー・スティル(Andrew Taylor Still)によって確立され、20世紀の前半に急速に世界中へ広まっていきました。
スティルは1864年にアメリカ、カンサス州で流行した髄膜炎で3人の子供と父親を亡くし、医師でありながら家族を救えなかった後悔と、当時主流だった水銀などを用いた薬剤治療に疑問を持ちます。そこから、医学を解剖学を中心に見直し、健康や病気について徹底的に考え、研究中に「患者の多くは必ず筋骨格系に異常があり、又、液バランス(血液、リンパ液、間質液など)や神経機能が正常に機能してないとさまざまな症状を引き起こす」ということを発見します。
この原因を「体の各部分を繋ぐ関節の動きの低下といった構造的問題と軟部組織である筋膜などの機能的問題である」と結論づけ、 関節の動きの低下、膜の歪みを調整し、循環系や神経系の働きをスムーズにすることで、投薬、手術は行わずに手技によって自然治癒力を活性化させる新しい医学を考え出しました。その後も綿密な観察、実験、研究を重ねオステオパシーの礎を作り上げていきます。
『オステオパシーを行うには健康時の全身の解剖学的なメカニズムはさることながら、微細な組織学的なメカニズムを明らかにする必要がある。また病気時の解剖学的変化や病理学的変化も重要になる。また生体に内在するトロピズムというものを基礎にして成り立っている。トロピズムは血液とリンパのもつ化学作用によって起こる。オステオパシーはきっかけはどうであれ、生体構造の機械的欠陥が原因でさまざまな変化が生じると考える。そして、病気を治療するということは、そうした欠陥を取り除くということである。』とスティルは力説してます。
この新しい医学はギリシャ語の「骨」を意味する「Osteon(オステオン)」と「病む」を意味する「Pathos(パソス)」という2つの言葉を組み合わせて「Osteopathy(オステオパシー)」と名付けられます。
※ Osteonは「骨」だけではなく「生命体の構造」という意味もあります。
現在、オステオパシーは南極を除く全ての大陸の50を超える国々で行われてます。
アメリカでは一般の大学を卒業後、5年間オステオパシー医科大学で学び、国家試験があり、合格者が臨床研修(レジデンシー)というようにかなりの年数をかけてオステオパシーを学びます。正式な医師免許を持ち、医学のどの分野でも医療行為が行えるDO (Doctor of Osteopathic Medicine)として認められてます。ただ、医師であるがゆえに医療行為が中心でオステオパシーの本質である手技が軽視されている節があります。さらに、MD(Medical Doctor)が多数派で、全医師の約90%を占めるので、アメリカでもMDとDOの区別がついていない人がほとんどだと思われます。さらに手技を重視しているDOでも信用できるのは全米で1,000人程度と言われてます。
ヨーロッパのほぼ全域、オーストラリア、ニュージーランドではオステオパスになるための教育は修士号レベルが必要とされ、国家資格としても認められてます。
世界を見渡せばオステオパシー従事者の登録と診療規則の法的義務を定める国が2000年以降増加しており、現在少なくとも15カ国でオステオパシーとオステオパシー医学に対する法律が存在してます。
スポーツの分野でもオステオパシーは活躍してます。
2012年ロンドンオリンピック・パラリンピックから選手村総合病院で世界基準の選手が求める医療として初の「COPS」形式が採用されました。
※ COPSは、カイロプラクティック、オステオパシー、理学療法、スポーツマッサージの頭文字をとったもの。
COPSはそれぞれの得意分野を活かした治療を行うことで選手たちに優れた医療提供を可能にしました。
オリンピック・パラリンピック以外でも世界で活躍するトップアスリートは、オステオパシーを受けていることは珍しいことではありません。サッカーワールドカップやウィンブルドンなど様々な国際大会の現場でも選手のケアを行ってますが、それだけでなく日ごろのメンテンナスやパフォーマンスアップにもオステオパシーは貢献してます。
日本には1904年(明治37年)ごろ「武士道」の著者であり、旧5000円札の肖像としても知られる新渡戸 稲造 氏により伝えられたことが分かっています。
オステオパシーが発表されてからわずか30年あまりで既に日本に入ってきていました。しかも、創始者であるスティルの教え子(レイチェル・リードD.O.)が直接日本に訪れて施術していたようなので、この頃にはかなり正確なオステオパシーが伝わっていたことになります。
しかし、1920年(大正9年)にオステオパシーに関係する日本最初の書籍「山田式整体術講義録」が発行されますが、ほかの療法と合わせて編み出した方法を「整体術」として紹介したため徐々にオステオパシーの原型は変化していまい、オステオパシーという言葉も伝わらなかったと考えられます。
その後、欧米からの情報が途絶えていた時期が長く続き、戦後になってようやくセミナーを通して欧米との交流が再開されます。しかし、テクニックが中心の数日間のセミナーだけでは断片的なことしか身につかず、もっとも大事なオステオパシーの哲学が学べないという問題がありました。さらに、当時は徒弟制度だったため師匠の個性による影響が強く、教えも偏り、合う人は続けられるけど合わない人はどんなに熱意と能力を持っていても続けられないというもったいないことが起きてました。
これではいけないと日本でもオステオパシーを学びたい人がきちんとしたオステオパシーの教育が受けられる環境が必要と考え、欧米のオステオパシー教育の導入を進める民間の努力から、意識の高い数名のオステオパスの協力と大変な苦労があって1992年に日本で最初のオステオパシー専門学校であるジャパン・カレッジ・オブ・オステオパシー(JCO)が設立されました。創始者のスティルがアメリカにアメリカン・スクール・オブ・オステオパシー(ASO)を作ったのが1892年なので日本はちょうど100年遅れていることになります。
JCOは設立から30年たった今でも数多くのオステオパスを輩出してます。学校教育以外にも毎年多くの国際セミナーが開催され、その分野の第一人者の先生を呼ぶことで世界の最新技術・情報を積極的に吸収してます。また、AAO(American Academy of Osteopathy)をはじめ、世界のオステオパシー業界と活発な交流があります。
しかし、日本だと国家資格でさえないのできちんと勉強した人とそうでない人との間にはものすごく差があります。
OIA(オステオパシー国際連盟)が出している下表を見てもわかるように日本できちんとオステオパシーを勉強していると認められている人は2024年現在少し減って100人ぐらいしかいません。
でも、オステオパシーという名前を使ってやっている人たちは日本にたくさんいます。
そこで施術者を選ぶときの参考にしてほしいのがMRO(J)を持っているか持っていないかです。MRO(J)はアメリカのオステオパシー団体であるAAO(American Academy of Osteopathy)が提示している教育水準を満たし、安全性・知識・技術・倫理観を持ち合わせた施術者として認定されたことを証明する資格です。日本だとMRO(J)が唯一きちんと勉強したオステオパスの証になってます。
たとえ立場が違ったとしても症状に困っている人たちの手助けをするために一生懸命勉強してきたことは同じです。
今の日本の教育システムだと高校生のときに「勉強が出来る」という理由から医学の道に進むという人が少なからずいると思いますが、日本でオステオパシーを勉強したいという人は一度社会に出てさまざまな経験を積み、改めて「医学を勉強したい!」、「人の役に立ちたい!」という純粋な想いを持った人が多いのも特徴だと思います。前職を辞め、本来もらえるはずの収入を捨てた上に約500万円という高額な学費と3年(現在は4年)という年月をかけて日本だと国家資格でさえないオステオパシーを勉強するというのは相当な覚悟がないとできません。
投薬や手術などの医療行為ができない日本ではオステオパシーの本質である手技が中心というのも特徴です。また患者さんが押し寄せる病院と違って一人一人と向き合える時間が取れます。
病院では言いにくいことや悩みがあればなんでも話してください。
きちんと話を聞きますし、医師ではないからこそ疑問にはわかりやすく説明します。
日本の医療は専門分化が進み、しかも他の専門の人に意見を言いません。自分の信念より社会や組織の中での折り合いの方が大事だからです。組織(病院、大学、学会など)、実績(症例数や研究や論文など)、保険制度などなど決まりが多く制限も多い組織的なしがらみのない私たちだからこそ、そもそも医療とは誰のためのものなのか?を肝に銘じ、あなたのために何ができるかを常に考えてます。
オステオパシーには四肢・脊柱のテクニック、頭蓋領域のオステオパシー、CST(クレニオセイクラルセラピー、頭蓋仙骨療法)、内臓マニピュレーション、ストレインカウンターストレイン、靭帯関節ストレイン(LAS)、筋肉エネルギーテクニック(MET)、促通位リリース、リンパ・ドレナージなど様々なテクニックがありますが、身体の問題が起こったメカニズムによって反射のメカニズムが異なり、それに合ったテクニックを用いなければ解決できません。どのテクニックを選択するかも施術者の力量が試されます。
身体がきちんと機能していない部分を見つけ、機能障害を改善し、本来の働きができるようにすることで、人間自らが持つ自然治癒力が働けるようになり、本来の回復が起こります。
病気はあなた自身が治します。オステオパスは、そのお手伝いをするのが役目です。
医学では病気は治せても病人を治すことはできません。
薬や手術などで一時的に病気は治せても、病人を治せない以上は同じ病気が再発したり、また新たな病気にかかったりすることになります。病気にかかるから病人なのではなく、病人だからこそ病気を引き寄せるのです。
つまり、病気の本当の原因はあなたの内部にあります。
細菌やウイルスなどの病原体、発がん物質、アレルゲン、毒性植物などなど外部の物質的なものが原因と思われがちですが、これらは病気の原因ではなくあくまで因子です。
※ 因子とはある結果をひき起こすもとになる要素
例えば、インフルエンザ・ウイルスが体内に入っても、さまざまな理由によって発病しない人はたくさんいます。ウイルスが本当の原因なら感染した全員が発病するはずです。つまり、ウイルスなどの因子が病気を起こすわけではなく、単に危害を加えるチャンスを待っているだけなのです。因子はあなたの内部バランスが崩れたその瞬間に、めざとく活動の場(あなたの弱点)を見つけ出し、 そこで繁殖し、連鎖反応を起こしてついには宿主を亡ぼしてしまいます。
つまり、予防接種をしてもインフルエンザにかかるような人にはウイルスに負けてしまう何らかの理由があるのです。
痛みやしびれなどの症状も同じようなことが言えます。MRIやレントゲンの静止画像の結果が悪かったとしても必ず症状が起こるわけではありません。なぜなら現実は静止画でなく動画のように動いているからです。体の一部の関節の可動制限や膜の歪みが少しずつ繋がって大きくなり、直接痛めたのでなければ、補正の限界が来たところ(あなたの弱点)から症状が出始めます。症状が出ている場所だけ調べても、対症療法的に施術しても、解決できない問題の方がはるかに多いです。
オステオパシーの特徴は、解剖学などの基礎医学的根拠に基づいて論理的にそれらの原因を見つけていきます。その思考プロセスこそがオステオパシーの真骨頂です。その思考プロセスはオステオパシーの哲学と呼ばれてます。
繰り返しになりますが、病気や症状は通り魔的に襲われて突然なるものではなく、あなたの内側から生まれた 「あなたの一部」です。日頃の生活があなたの弱点を作り、結果として病気や症状を発生させます。
ノーベル生理学・医学賞を受賞したアルベルト・セント=ジェルジは「60年以上にわたる生体システム研究の結果、私たちの身体は延々と連なる軽度の疾患から示唆されるよりも、はるかに完璧に近いと確信した」、「身体の不調は生まれつきの欠陥というより、酷使した結果である」と書いてます。
WHO(世界保健機関)も糖尿病、心疾患、脳卒中など死因トップ10のうち 9つは私たちが口にする食べ物や水、私たちが暮らす家や働く職場が原因となっていると発表してます。(The top 10 causes of death WHO)
つまり、人類が自分でつくり出した病気なのです。
遺伝的に何らかの病気にかかりやすい人はいますが、その病気になると決まっているわけではありません。
遺伝子はオンにできるのと同様にオフにもできます。(Danielle Simmons, Ph.D. (Write Science Right) © 2008 Nature Education)
そのスイッチを切り替えるのは環境からのインプットです。
食生活や普段の姿勢や身体の使い方を改善し、定期的にオステオパシーの施術を受けたり、家庭や職場の毒素やストレス要因を取り除けば、現代における慢性疾患の大半の予防や治療に対して、著しい持続的な効果が得られます。
オステオパシーの哲学に沿って根本的な問題に目を向け、病気になる前にあなた自身に問題のある生活習慣に気が付いてもらい、生活習慣を見直すことが何より大事です。その手助けをするのもオステオパシーの仕事のひとつです。
あなたの日常生活にまで口を出すことは余計なお世話かもしれません。あなたにはあなたなりの暮らしがあり、常に健康のことなんて考えてられない!ということは百も承知です。だからこそ、科学と称するデータを振りかざして「規則正しい生活をしてください!」とか「食習慣に気をつけて食べる量を減らしてください!」とか「タバコやお酒を控えてください!」とか「長時間座らないでください!」とか「運動してください!」とか命令することなんてできないと思ってます。あなたの生き方を尊重し、言い分もきちんと聞くだけでなく、こちらも言うべきことはきちんと伝え、話し合う人間同士の対話が大切だと思ってます。