インナーマッスルを使おう!

 

ここでいうインナーマッスルとは肩関節や股関節などの周りについている深層筋のことです。

 

股関節周りには腸腰筋があります。腸腰筋は腸骨筋、大腰筋、小腰筋に区別されます。

各筋肉を細かく見ていきます。まず各筋肉がどこから始まってどこに停止しているかです。

  • 腸骨筋 : 腸骨の上縁および腸骨窩から大腿骨の小転子
  • 小腰筋 : 第12胸椎と第1腰椎の椎体外側面から腸恥隆起
  • 大腰筋 : 第12胸椎~第4腰椎の椎体と横突起(肋骨突起)から大腿骨の小転子

なぜ、筋肉の起始/停止を述べたかというと小腰筋、大腰筋が第12胸椎からはじまっていることに注目してほしかったからです。


第12胸椎からはじまっているということは足(大腿骨)はお腹より少し上の位置から吊り上げられていることを意味してます。ちなみにおへその位置が第3, 4腰椎ぐらいなので第12胸椎はおへそよりもさらに上です。

 

 

おそらくあなたが意識してるところよりも上から足は動きはじめるし、上半身からの影響もあるし、下半身から上半身へ影響を与えることもできるということです。

詳しくは長くなるのでここでやめておきます。

 

さらに細かく見ていくと大腰筋が椎体と横突起(肋骨突起)に付着していることに注目します。

下図を見て走るときは骨盤が前傾しているのと後傾しているのではどちらが有利だと思いますか?

骨盤は前傾している方が有利です。

 

脊柱を横から見ると椎体は前方、横突起は後方に位置してます。 

同じ大腰筋でも椎体に付着してる方の筋線維が発達してる方がより前傾に持って行けるような気がしませんか?

大腰筋は下肢が固定されているとき腰椎と骨盤を前下方へ引く作用があるので、きちんと作用すれば骨盤を前傾させられます。

 

短距離から長距離まで走ることに関しては黒人選手が強いですが、強い理由は小腰筋、大腰筋(椎体部)が発達しているからとも言われてます。 

 

腸腰筋は体の中心軸にそって重心を囲むようについているので重心を中心にした動きをしやすくしてくれます。

腸腰筋が使えるようになると動きだしが早くなります。さらに、体幹が強くなるのでボディバランスが良くなり体がぶれないなどムダのない質の高い動きになります。

 


インナーマッスルとアウターマッスルの違い


インナーマッスル(深層筋)とアウターマッスル(表層筋)の一番の違いは筋肉の働きが真逆ということです。

インナーマッスルが優位な体はしなやかで強靭ですが、アウターマッスルが優位な体は硬くて脆いです。

 

大地震が発生しても倒壊しない耐震設計されたビルがインナーマッスル、耐震設計されてないビルがアウターマッスルというイメージです。

 

子どもの筋肉って柔らかいですよね?

ちょっとのことでは怪我もしないし動きもノビノビしている。

 

間違った筋トレで余計な筋肉を鍛えると硬くなるばかりか関節まで縮こまらせてしまいダイナミックな動きができなくなります。

 


もも前はブレーキ


太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)は下り坂を下りるとき体にブレーキをかける筋肉です。

 

つまり大腿四頭筋を使って動くことはブレーキをかけながらアクセルを踏んでいるようなもので非常に効率の悪い動きになります。

 

太ももの前を使うと腰の中の腸腰筋や裏側のハムストリングスは使われにくくなってしまいます。逆にもも裏のハムストリングはアクセル筋です。

 


もも前ともも裏でフォームが違う


インナーマッスルを使えてる人は走るフォームも違います。

アウターマッスルを使うと狭い歩幅で大腿四頭筋でももを持ち上げてせかせかと脚を動かして頭を上下左右に大きく揺らしながら走る”もも前走り”。

 

低重心で背筋が伸びてない。

日本人のほとんどはこの走り方です。

逆に大きなストライドでハムストリングと下半身のインナーマッスル(腸腰筋)を使って勢いよく足をスイングさせて流れるように動く。

体軸がぶれず背筋が伸びて頭が上下しない”もも裏走り”。

 

もも前走り
もも前走り
もも裏走り
もも裏走り

 

もも裏ともも前で走るフォームが違うように歩き方も違います。

 

トップアスリートはみんな歩き方がスムーズできれいです。インナーマッスルを使って歩けることが一流への第一歩だそうです。

 

日頃からお尻のすぐ下あたりを意識して歩くだけで自然に体の使い方が変わります。アウターマッスルに頼ると胸や肩にも余計な筋肉がついてむきむき体系になります。


余計な筋肉がつくとスピードが落ちてキレがなくなり視野も狭くなり疲れやすくなって怪我も多くなってしまいます。

 


見えないインナーマッスルがきちんと使えてるか分かる方法!


インナーマッスルが使えているかどうかは軸があるかどうかでわかります。軸は重力から解放される「垂軸」と体勢を楽に保つ「体軸」の2つあります。

 

垂軸は地球の中心と1本に結ばれた軸のことです。常に地球の中心から伸びた一直線の線が体の真ん中を通って宇宙に抜けていく感じです。操り人形のように糸で吊るされている感覚です。これができると重力から解放されるので動きが軽やかに見えます。

 

体軸は姿勢をきれいに保つために体の中心を貫く軸です。体軸と垂軸が揃って初めて威力を発揮します。どちらか一方の軸があるだけでは意味がありません。

 

垂軸と体軸があるかないかは見ればわかります。軸がある人は首から下は動いているのに頭の位置は動きません。もも前の筋肉を使うと必ず頭が上下左右にブレやすくなります。

 

頭がぶれない=軸があるということです。

さらに垂軸がある人は立ち姿がスゥーっとして天に向かって伸びています。

 


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