野菜と果物は自然が人間にあたえてくれた最高の贈り物です。
食べてもおいしくて私たちを元気に健康にしてくれる栄養素がたくさん含まれてます。
しかし、今採れる野菜はビタミンなどの栄養素が昔採れた野菜と比べて低下しています。
安定供給を優先させることで土地の消耗を防ぐこともせず、化学肥料を使うことによって土地の荒廃が進んでしまいました。化学肥料を使えば作物は育ち続けますが、土地は休まる暇がありません。
土地も人間と同じで生きているので、休みなくずっと働き続ければパフォーマンスは低下します。無理をさせた土地でできる作物からは生命力がなくなります。
また、人工栽培が増えたこと、流通過程の問題で早く収穫することなども要因に挙げられています。栄養士の方によると調理の過程でさらに野菜の栄養素は抜けてしまうとのことです。
では、具体的にどれくらい下がっているのでしょうか?
文部科学省が発行している『日本食品標準成分表』には、さまざまな食品の成分に関するデータ(栄養素など)がまとめられてます。
1982年の4訂版日本食品標準成分表と2000年の5訂版日本食品標準成分表の数値を確認したところ、野菜100グラムあたりのビタミンCの含有量が20年前と比べて以下のように低下していることがわかりました。
● ニンジン
7mg → 4mg
● トマト
20mg → 15mg
● ほうれん草
65mg → 35mg
● ブロッコリー
160mg → 120mg
● チンゲンサイ
29mg → 24mg
● 大根
15mg → 12mg
● モヤシ
16mg → 8mg
● パセリ
200mg → 120mg
● ニガウリ
120mg → 76mg
● ニラ
25mg → 19mg
● 小松菜
75mg → 39mg
● シシトウガラシ
90mg → 57mg
● シソ
55mg → 26mg
といった数値に低下しています。
ビタミンC以外でも、ビタミンA、鉄分、カルシウムなどの栄養素が低下しています。
また、1950年に発行された最初の『日本食品標準成分表』と比べるとさらに差が激しく、
例えば1950年のほうれん草は、100mgあたりのビタミンC含 有量は150mg。
それが1982年には65mgになり、2000年には35mgになっています。
約5分の1にも低下しています。
また、同じくほうれん草の鉄分も1950年は13.0mgも含まれていましたが、
1982年では3.7mg、2000年では2.7mgと、こちらもほぼ5分の1に減少しています。
十分な量の野菜を食べているつもりでも、実は栄養素が不足していたりするのはこういった理由です。健康志向の人が増えた昨今、野菜も「有機栽培」のものを好む人や、有機栽培での野菜を作ろうと考えている人も増えています。
やせた土壌をなんとか復活させる動きもありますが、人は土壌がどのようにして作られたかを知りません。知らないものを無限にあると信じ込み、むやみやたらに使い続けるのは危険です。復活させるのは難しいと思いますが、20年先の『日本食品標準成分表』では低下した栄養素が元に戻っていることを祈ります。