なぜ、疲れるのか?

 

疲れる原因を知るためにはまず身体が何を燃料にしてエネルギーを生み出しているかを知る必要があります。身体は以下の3種類の燃料を燃やしてエネルギーを生み出します。

 

① 遊離脂肪酸(体脂肪)

② ブドウ糖(糖質)

③ クリアチンP(クリアチンリン酸)

 

もっと詳しく知りたい方は身体のエネルギー源をご覧下さい。

 


◆ 運動しはじめてすぐ疲れを感じてしまう原因は?


運動しはじめてすぐ疲れてしまうのは①の遊離脂肪酸が関係してます。

 

血液中に流れている遊離脂肪酸の量は少ないです。いきなり運動をはじめるとすぐに遊離脂肪酸は燃え尽きてしまい糖質しか燃焼するものがなくなってしまいます。

 

糖質を燃焼すれば血糖値が下がるので疲労を感じはじめます。だから、運動する前にウォーミングアップが必要なのです。

 

ウォーミングアップをするとなぜ疲れにくいのかをもっと詳しく知りたい方は効率的に運動するには?をご覧下さい。

 


◆ 足に力が入らなくなってしまう原因は?


次にフルマラソンの35kmの壁のように突然足に力が入らなくなる場合があります。これは②のブドウ糖(糖質)が関係してます。

 

脂肪をエネルギーに変えるためには酸素とブドウ糖(糖質)が必要です。口から入ったブドウ糖は骨格筋と肝臓にグリコーゲンという形で蓄えられ血液中はグルコースという形で存在します。

 

筋グリコーゲンは筋肉運動のエネルギーとして利用され肝グリコーゲンは主に血糖値のキープをするための予備として蓄えられています。

 

筋グリコーゲンの量は個人差がありますがおよそ350~500g。さらに蓄えるのに3日くらい時間がかかります。これがちょうど枯渇するのが35km地点。グリコーゲン不足で脂肪がうまく使えなくなることが原因です。

 

レース中は主に筋グリコーゲンが減っていくのに比例してパフォーマンスはどんどん低下していきます。筋グリコーゲンが枯渇すると最大運動能力の半分程度のパワーしか発揮できません。

 

筋グリコーゲンを枯渇させない方法を知りたい方はこちらをご覧下さい。

 


◆ 痛み


フルマラソン以上の距離になってくると足だけでなく全身が痛くなります。これは筋肉のミネラルバランスが崩れることが関係してます。

 

筋肉にはカルシウムイオンとカリウムイオンの2種類のイオンが存在してます。カルシウムイオンは筋肉の収縮反応、カリウムイオンは弛緩反応に関わります。

 

2種類のミネラスバランスによって筋肉の収縮運動を調整してます。どちらかのイオンが足りなくなると筋肉が伸び縮みしにくくなります。筋肉が伸び縮みにくくなるので体が動きにくくなります。

 

乳酸は激しい運動を行うと血中に増えることがわかってます。乳酸は運動を続ける限り糖質に変換されるので乳酸自体は疲労物質とは言えません。

 

ただ乳酸の濃度が増えるとカリウムイオンの濃度も増えます。カリウムイオンの濃度が増えると筋肉の伸び縮みがしにくくなり体が動きにくくなります。

 

痛みと関係する物質として「ブラギニン」「ヒスタミン」などがあります。これらの物質が一部分に集まりすぎると血流が低下している場所と合図を送るために痛みが発生します。