水分には重要な3つの働きがあります。
① さまざまな物質を水に溶かす溶解作用
② 老廃物の排泄や栄養物質の運搬作用
③ 体温を一定に保つ大きな働きがあります。
体の約50〜60%は水分で占められています。
人は水分なしで生きることはできません。
運動すると筋肉の中でたくさんのエネルギーが発生します。
が、このエネルギーのうち運動に使われるのは少しで残りは熱に変わってしまいます。
運動すると体が熱くなるのはこのためです。
運動中に発汗状況を正確に知ることは不可能ですが、さまざま症状で自分の水分不足を自覚することができます。
汗は体温を一定に保つ働きをしているため、多量の発汗で体重の3%の水分を失うと運動能力や体温調整機能が低下します。
そのため運動中も2%以上の脱水状態にならないために、のどが渇く前の給水が必要となります。
のどの渇きが起きたときはすでに脱水状態になっているので意識的に補給することが必要です。
たった2%の脱水状態でも筋肉の痙攣、血液凝固、持久力の低下などさまざまな症状が現れます。
3%以上の脱水になると体温調節に使う溶解作用と運搬作用に使う水がなくなってしまいます。
こうなると体の生理作用を正常に維持できなくなるため、発汗作用を一時停止させることになり、体温が急上昇する大変危険な状態になってしまいます。
多量の発汗で水分と塩分が不足し、筋肉中の電解質バランスが崩れるとふくらはぎや太ももに痙攣が起きることがあります。
水分摂取だけでは不十分でスポーツドリンクの摂取が有効です。
脱水が進むと体内の水分減少を押さえる必要があるため抗利尿ホルモンが分泌されます。
このホルモンは一度分泌されると半日から2日くらい分泌され続けるため、飲んだ水は排出されずむくみは取れません。
水分補給は夏のように汗を大量にかくだけの話ではなく、冬のようなあまり汗をかかない状況でも必要です。
皮膚からの汗だけでなく、口や鼻からの呼吸でも水分はなくなります。
常温安静時では、健常成人で1日約900ml(皮膚から約600ml,呼気から約300ml)程度の水分が失われます。
水分補給の目安はおおよそ1時間で体重1kgあたり5mlの水分を失い、この失った分の水を補給することが必要になります。
たとえば、体重50kgの人が6時間運動した場合は1.5Lの水分を失うことになります。
冷たい飲み物は飲みすぎると血中塩分濃度が低下して逆に疲れてしまいます。
塩分を含んだ温かい飲み物をゆっくり補給したほうがいいです。
運動中の水分摂取は水分と塩分を同時に補給しないといけません。
発汗で失うのは水分だけでなくミネラルも同時に失うからです。
水分やミネラル分を効率よく補給するためにはスポーツドリンクが有効です。
スポーツドリンクは体液にほぼ等しい浸透圧を持つアイソトニック飲料と呼ばれ、体内への水分の吸収に優れ、胃腸への負担がかからないようになってます。
さらに、疲労回復に必要なクエン酸、ブドウ糖やショ糖を含み、アミノ酸やビタミンも添加されているものあります。
ただし、スポーツドリンクは濃いので半分ぐらいに薄めて飲むことをお勧めします。
濃いままで飲み続けると、体内の濃度が高まり糖質などの吸収率も低下し持久力が低下してしまいます。
水は自由に飲むのではなく、意識的に飲むようにしましょう。
運動中は水分を吸収しにくくなるので、分散して補給するようにしましょう。
寒い冬でも思ったよりも汗をかいています。
皮膚からの汗だけでなく、口や鼻からの呼吸による水分喪失も脱水症状の原因です。
これを“不感蒸泄(ふかんじょうせつ)”といい、発汗以外(主に皮膚や呼吸)の水分喪失のことです。
単に皮膚からの水分蒸散を指す、との見解もありますが、常温安静時では、健常成人で1日約900ミリリットル(皮膚から約600ミリリットル,呼気から約300ミリリットル)程度の水分喪失がみられます。
これらは、体温や呼吸状態などにより変動します。
喉が乾いてないからといって水分補給をしないと、あなたの気づかないうちに水分不足になり、パフォーマンス低下や自律神経トラブルの原因になります。
特に女性は平常低体温であることが多くみられますし、体温調節機能が低下していることもあり、喉の渇きを感じにくいようです。
こまめな水分補給と内容物の選択がポイントです。
上記のようなリスクを念頭において、安全な登山を心がけてください。
● 脱水によるミネラル不足