「骨で立つ」という言葉がありますが、文字通り骨で立てるようになることが理想です。
骨は独自の空間構造と物性を持っていて身体の他の構造とは全く違います。例えば、股関節は360°とまではいきませんが他方向に回転できる球面状の関節(臼状関節)を持ってます。そして、フォームやポジションによって一番荷重がかかる一点が物理的に決まってます。
一番効率よく立つためにはこの一点をきちんと身体が知っていて、ここに体重がかかるように筋肉をコントロールしなければいけません。このためには骨格を骨格の形として認識して一方でこの一点に体重を載せるための力の入れ方をして筋肉が骨を支える必要があります。こうやって骨格構造を最大限利用した立ち方ができると関節に全く余分な力がかからない状態になります。
骨格という筋力を必要としないパーツを最大限活用して体重を支えれば立つために必要な筋肉だけで最小の力に抑えることができます。
人間の足の裏には3カ所硬くて大きくできている場所があります。
全て足の内側に集中していて外側にはありません。
さらに、膝から下は脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)の2本の骨がありますが、腓骨は脛骨の1/5程の太さしかなく身体の外側に付いていて体重を支える構造になってません。
にもかかわらず、ほとんどの人が外側で体重を支えようとします。
あなたが普段履いている靴底を見てみてください。外側がすり減ってませんか?
細い腓骨で体重を支えようとするとすぐに骨が傷んでしまうので周りの筋肉を使ってフォローします。
例えば立つ時に本当は50kgの力で立てるのに、外側で体重を支えようとしたり重心が前にあると腰の横にある中臀筋や大腿四頭筋に余計な力が入って80kgの力が必要になります。余計な力を使ってるので動きが不自然で汚く見えます。
さらに余計な筋肉を使うことで必要以上に筋肉が発達して太くなります。これが身体の使い方が体型にも影響がある理由でもあります。必要ない筋肉はエネルギーを余計に消費してしまうので持久力の低下にもつながります。
姿勢でとても大切なことは意識です。
ほとんどの人は立った状態だと踵に体重をかけていると思います。つまり、踵までしか意識していないということです。
手の長さを測るとき肩から指先まで測りますが、足の長さを測るときは腰から踵までしか測らないのでは?
しかし、つま先までが足です。
昔は草履や雪駄を履いていたのできちんと足の先端まで意識してないと履物は脱げてしまいました。今はほとんどの人は靴を履いています。靴は意識しなくても脱げることはありません。自分の靴を見てください。踵の方がすり減って左右が不均衡になってませんか?
身体の隅々まで意識していることが自然な状態です。足先まできちんと意識することで安定した姿勢を保つことができます。
正しいかどうか確かめる方法。
誰かに左斜め前に立ってもらって右手で相手の左胸と肩の間を軽く押されても安定した姿勢を保てます。