通過するのに不安を感じる岩場や岩稜帯は、
北アルプスなどの険しい山ばかりではありません。
中級山岳や低山の一般コースにもたびたび現れます。
そのような滑落の危険がある箇所では
万一のことを考えてロープを使ってよりいっそうの安全策をとるようにしたい。
ここで注意しなければいけないのは、リスク管理のためのロープの使い方は一般登山とクライミングでは大きく異なるということです。
クライミングでは墜落を止めるために積極的にロープを用いるが、一般登山の場合は危険箇所を通過するときの補助的な手段としてロープを用い、スリップしたときそれ以上落ちないようにすることが目的です。
ロープを使うかどうかは危険箇所の状況とメンバーの力量を考慮してリーダーが判断する。
ロープを使うリスクコントロールは中途半端に用いるとかえって危険性を増してしまう。
ロープを使う以上リーダーはその技術を確実に習得しておく必要がある。
またメンバーもそのシステムを理解し、現場でスムーズに操作できるように練習しておきたい。
必要な装備は個人装備としてメンバーが全員持つようにする。
補助ロープの太さは積極的に使うかどうかの度合いによって6, 7, 8mmのいずれを選択する。
どの太さのロープを使うかの判断基準は、強度ではなく必要度です。
岩稜帯で積極的に使うことが想定されるなら8mm、1箇所だけ使いたいというような場合は7mm、緊急時の非常用とするなら6mmのロープを持てばいいです。
長さは各自10mずつ持てばよく、長さが足りないときは2本以上をつなげて使用する。
以降で、ロープを使った危険箇所の通過方法を4つ紹介します。
傾斜が非常に急で滑りやすいような箇所ではメンバーが安全に通過できるようにリーダが傾斜にロープを固定してあげるといい。