読図のコツは以下の3つを繰り返し行うことです。
● 地形図を読んで先を予測する
● 歩きながら地形を見て情報を集める
● 集めた情報で予測の確信を高める
これを繰り返していれば現在地を見失うことはありません。
情報を集めるのに当てにしてもいい情報と当てにしてはいけない情報があります。
地形、歩幅から距離、歩幅を把握していれば時間でも距離を推定できます。
これぐらいの傾斜は地図上ではこれぐらい等高線が密になっている。
等高線を見てどれぐらい自分は地形をわかっているかを把握する。
あなたが把握しているものを増やしていけば読図の幅も広がっていきます。
何を基準に進む距離を決めるのか?
歩幅、高度計で標高を把握する。
周りの風景(特に遠くに見える景色)を基準に進む方向を決めるのは危険です。
遠くなればなるほど人の目測精度は当てになりません。
それよりも近くに見えるピークなど細かい視点でしっかり目の前の地形を読むことが大事です。
このために大切なことは地形を言葉で表現することです。
「500mのピークから30m下ったコル」
「ここから40mは緩い登り」
など常に状況を言葉で表現する。
2次元を3次元に変換してさらに言語化する。
山に行く前に地図で地形をイメージして実際に山へ行って確かめる。
この過程において読図力が鍛えられていきます。
尾根で読むべき要素は次の5つです。
① ピーク
② コル
③ 尾根の分岐
④ 傾斜の緩急
⑤ 標高差
中でも一番注目したいのはピークは尾根の分岐点であることです。
ピークには等高線の閉じていないものがあります。
1/25000の地図では10mごとに等高線が引かれています。
なので、標高差が9.99mのピークは地形図に載らない場合があります。
登山中に出くわす9mのピークはかなり大きいです。
9mというとビルの3Fに該当します。
ピークは尾根の分岐点です。
つまり、尾根が分岐していれば等高線が閉じていなくても
10m未満のピークがあるということです。
ピークと尾根の関係には重要な法則があります。
それは1つのピークから派生する尾根は3本ということです。
あるピークで進むべきでない方向に明瞭な踏み跡があるとします。
しかし、この法則が頭に入っていればヤブに隠れているであろう正しい尾根を落ち着いて探すことができるようになります。
等高線を先読みし、目の前の地形と照合を繰り返す。
こうすることで身に付くのは傾斜や標高差、沢や尾根の大きさなどの感覚です。
等高線の混み具合から「このぐらいの傾斜だろう」という感覚を体で覚えられます。
さらに訓練を重ねれば50m, 100m, 200mの標高差の違いがわかるようになります。
歩きながらそろそろ100mと感じることができるようになれば気持ちの余裕が違ってきます。
地形は正確に表現されていますが、道や人工物は必ずしも正確に表現されているわけではありません。
地図にない道もあります。
地形で現在地を確認する習慣を身につけましょう。
右から大きな沢が入る出合いだからここは地図上のここだと認識すれば迷うことはありません。