万が一に備えて登山者が加入しておくべきなのが山岳保険です。
保険の話の前に登山中に遭難して救助してもらった場合、費用はどれぐらいかかるのかが気になると思います。
とは言ったものの救助費用に基準となる目安はなくて遭難地点がはっきりわかっているかどうかと救助を要請したタイミングで決まります。
山域や山の難易度は特に関係ありません。
一番お金がかかるのは行方不明です。
遭難場所がわかっていればポイントを絞って必要な人数を派遣できますが、わからない場合は相当な人数が必要になります。2018年5月につかまった愛媛県の刑務所から逃走した窃盗犯を見つけるのに6,000人以上が動員されたように場所が分からないとかなりの人数が必要になります。
登山の場合だと2018年5月5日に新潟県の五頭連山(ごずれんざん)で行方不明になった親子が24日後に遺体で発見された遭難事故がありました。5月7日から警察と消防で40~50人体制で捜索を開始。5月10日にはドローンを使用してこれまで捜査範囲外だった人が入ることが困難な場所も捜査しましたが見つからず、29日にヘリで捜査中に沢で発見されました。
このケースだと見つかるまで警察や消防などの公的機関が動いていたようですが、一般的に公的機関が動く期間は1週間から10日ぐらいです。公的機関が動く一次捜査で見つかる場合は費用が少なくて済みますが、これ以降の民間の二次捜査となると費用はどんでもない額になる可能性があります。
費用のほとんどが捜索隊の人件費です。
北アルプスの遭対協(北部地区山岳遭難防止対策協会)が出動する場合は登山案内規定に基づいて夏は1日1人3万円、冬は1日1人3万5千円。他に吹雪、深夜出動、雪崩の危険がある場合は危険手当もプラスされます。
五頭連山を例にとり公的機関の一次捜査が10日で打ち切られて、残りの14日が民間の二次捜査になったと仮定した場合
14日×40人×3万円 で 1,680万円と考えるだけでおそろしい額になります。
捜索や救助にヘリコプターが使われる場合、お金のかからない警察ヘリ、消防ヘリが使われるかお金のかかる民間ヘリが使われるかはタイミングです。
2012年のデータですが、長野県警の管轄内で発生した山岳遭難事故254件のうち214件、262回ヘリコプターが出動してます。警察ヘリが199件、消防ヘリが60件、民間ヘリが3件でした。民間の場合は遭難者に約50万円の請求があったそうです。
救助に駆け付けてくれるのが警察や消防などの公的機関か民間団体かはそのときになってみないとわかりません。
まぁ救助してもらう遭難者に選ぶ権利はないと思いますが、、、
最近の話題としては埼玉県の山で事故を起こした場合は県警のヘリでも手数料5万円かかることが埼玉県の自民党県議団から条例が出されて可決され有料化が決まりました。有料化が決まって最初に適用されたのが今年2018年1月16日に二子山で発生した滑落事故です。
埼玉県の防災ヘリで救助され、救助にかかった58分間の燃料代に相当する5万5千円の手数料を県内の60代男性に請求してます。ちなみにこの男性は命に別条はありませんでした。
この行方不明の捜査をより効率的に、もしかしたらなくすことでできる可能性がある”ココヘリ”というサービスもあります。ココヘリはまだサービスとしてはじまったばかりなので改善点がありそうですが、誰かが利用しない限りよくなっていかないので安心を買う意味でもシステムを育てる意味でも利用してみる価値があるかもしれません。