計画書はどのように役立つのか?

 

警察庁から発表された2017年に全国で発生した山岳遭難件数は2,583件、遭難者は3,111人で統計の残る昭和36年以降で最も多くなってます。そのうち死者・行方不明者は354人です。

事故を原因別に見ると道迷いが最も多く全体の40.2%を占めます。
次に滑落が16.8%、転倒が15.1%を占めてます。

この道迷い遭難の捜査効率を大きく左右するのが山行計画書があるかないかです。
道に迷ったときや疲労や怪我で動けなくなった場合、まずは携帯電話で救助要請しようとすると思います。

救助要請さえできれば最近の携帯電話はGPSが内蔵されているので警察は位置情報がわかります。
ただし、GPSの受信状況によっては正確な位置を通知できない可能性もあります。

緊急通報する時は口頭でも現在地や目標物等を伝えるようにしてください。
位置情報さえ分かればすぐに救助してもらえます。

問題は救助要請できない場合です。
今はほぼ100%の人が携帯電話を持って山へ登っていると思われますが、救助要請に携帯電話(無線を含む)が使用された割合は77.5%です。圏外だったりバッテリー切れなど何らかの要因で22.5%が救助要請に通信手段が使用されてません。

救助要請できない場合は予定通り帰ってこないので家族がおかしいと気が付いて警察に通報する流れになると思います。
埼玉県警の山岳救助隊の人によると計画書も提出しないで家族に「山へ行ってくる」とだけ伝えて連絡がつかなくなり、
登った山さえわからない捜索依頼が多いらしいです。

計画書がなければどの山のどこを探したらよいかさえわかりません。
では、遭難した人のうち何%の人が計画書を提出していると思いますか?

遭難者のうち警察へ計画書を提出していたのは約30%です。

 

登っている山がわかっていても山には登山口とルートが複数ある場合もあります。
計画書があれば遭難者の歩くルートがわかりますが、計画書がないと歩いたコースの割り出しからはじめることになります。

遭難者がアクセスに車を利用した場合は主要山域の各登山口周辺の駐車場で該当の車を探し入山口とコースを推定して捜索を行います。県警の管轄内で見つからなければ県も跨いでさらに捜査しないといけません。

電車利用の場合には登山口への起点となる鉄道の駅に設置されている監視カメラの映像を調べますが、映像の中に遭難者を発見できない場合もあります。

助かる確率を少しでも上げたいなら計画書を警察に提出しましょう。
計画書があれば警察も余計な苦労をしなくても済むので迅速な救助が可能になります。

救助隊はまず計画書に書かれているルートを捜索します。
コースを変えれば捜索を混乱させ救助に余計な時間がかかってしまいます。
計画書に書いた予定ルートは止む得ない事情がない限り変えないようにしましょう。

御嶽山噴火のような大規模災害が発生したときに安否確認や本人や緊急連絡先へ連絡をとることもあります。
ちなみに、長野県警はシーズンごとに行方不明の情報などがなければ計画書は廃棄しますとのことです。